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アプリ開発日誌

2025.07.23

AIで変わるアプリ開発の常識──これからの開発者に求められるもの

スマホアプリ開発に携わる私たちの現場でも、生成AIの活用がいよいよ“当たり前”になりつつあります。特に2024年以降、ChatGPTやClaude Code、Cursor、GitHub Copilotなど、開発工程を支援する生成AIの登場によって、アプリ開発の「常識」が劇的に変わり始めました

この記事では、生成AIの登場によって変わりつつあるアプリ開発の実情と、これからの開発者に求められるスキルや役割の変化について、ディレクターの杉本が現場視点でお伝えします。

■ コーディングだけじゃない!変わりゆく「開発者の仕事」

これまで、アプリ開発者といえば「コードを書く人」という印象が強かったと思います。実際、スマホアプリの設計から実装・テスト・リリースまでを一貫してこなすフルスタック型のエンジニアが重宝されてきました。

ところが、生成AIはその構造を根底から揺さぶっています。

たとえば、

  • 「この画面のログイン処理をFlutterで書いて」とChatGPTに頼めばコードが出てくる
  • GitHub Copilotを使えば、コメントを書くそばから関数の雛形が補完される
  • テストコード、README、エラー文の解釈など、従来は時間がかかっていた部分が一瞬で完了する

といった具合に、“手を動かす部分”の多くをAIに任せられるようになりつつあります。

つまり、開発者の仕事は「書くこと」から「設計して判断すること」へとシフトしつつあるのです。


■ 設計力と抽象化スキルが最大の武器に

AIを活用する開発現場では、最も重要な仕事が「設計と要件整理」になるでしょう。

なぜなら、AIは「何をつくるか」が明確でないと、正しく動かず、間違った結果を導くからです。人間同士なら“なんとなく”で通じることも、AIには通じません。たとえば、「かっこいいUIにして」と言っても、AIは理解できず、望む結果がでるまで何度もAIに問い合わせをする(ガチャをひく=質問を繰り返す)必要があります。

そこで必要になるのが、以下のような力です。

  • ビジネス要件を構造化して、仕様に落とし込む力
  • UIやUXのイメージを具体的に言語化する力
  • モデルやコンポーネントの関係性を図解・文章で整理する力

これらは、従来のように「とにかくコードを書いて覚える」というスタイルではなかなか身につかないスキルです。設計の段階で高い抽象化力が求められる時代になったといえるでしょう。


■ 新しい基礎スキル「プロンプトエンジニアリング」

もうひとつ重要なのが、「プロンプトエンジニアリング力」です。

生成AIは“命令”の出し方ひとつで出力の質が大きく変わります。どんなに優秀なモデルであっても、指示が曖昧だと微妙なコードしか返ってきません。逆に、構造化されたプロンプトを与えれば、高精度な出力が得られます。

たとえば、

以下のような画面構成に基づいて、Flutterでログインフォームを作成してください。
・メールアドレス(TextField)
・パスワード(TextField)
・ログインボタン(RaisedButton)
・未入力時はエラー表示
・バリデーションロジックは別関数で分離

といった形で伝えることで、AIは構造化されたコードを返してくれます。

「AIにどう伝えるか」=「設計力+言語化力」こそ、新時代のエンジニアの基礎スキルなのです。

AIの「得意・不得意」の見極め力

AIと共に働く時代において、最も重要なのは「どう使うか」ではなく、「何を任せ、何を任せてはいけないか」を見極めることです。
そのために必要なのが、プロンプト設計力(=伝え方)とタスク判断力(=任せ方)の両輪です。

● AIが得意なこと:定型・高速・構造的なもの

  • UI設計に基づいたHTML/CSSのワイヤーフレーム生成
  • 繰り返し構造をもつコードや処理(API連携、フォームバリデーションなど)
  • テストコードの生成や型定義の補完
  • 要件定義や設計ドキュメントの自然言語要約
  • Chat形式でのFAQ回答やエラー文の要因分析

例:「Figmaの構成をもとにワイヤーフレームをHTML/CSSで出力」 → 非常に得意
  構造的かつルールベースであり、テキスト処理も強いため。

● AIが苦手なこと:あいまい・創造的・視覚中心のもの

  • 「それっぽい」画像を生成するビジュアルUIモック(精度・一貫性にばらつきあり)
  • ビジネス背景や社内事情を踏まえた設計判断(文脈を理解しきれない)
  • 「おしゃれに」「柔らかく」などの抽象的指示の解釈
  • セキュリティ対策やパフォーマンス設計など、経験ベースの判断

例:「同じワイヤーフレームを画像形式で出力」 → 苦手
  テキストではロジカルに構成できても、画像では美的バランスや一貫性が不安定になることがある。


● 開発者に求められる3つのスキル

AIの特性を理解したうえで、開発者には以下のようなスキルが求められます:

  1. プロンプトエンジニアリング力
      → 明確・具体的な指示を与える言語設計力
  2. 判断力と切り分け力
      → 「AIに任せる」「人間がやる」を見極める力
  3. 検証と修正のスキル
      → 出力結果の妥当性や安全性を見抜き、改善する力

■ 人間の役割は「評価者」へ──読む力が問われる

AIにコードを書いてもらえるようになった結果、開発者には「コードを書く」よりも「読む」スキルが強く求められていくでしょう。

AIが出力したコードは完璧ではありません。冗長だったり、セキュリティ上のリスクが含まれていたり、最新のライブラリに対応していないこともあります。

そこで求められるのが、

  • 出力されたコードの意図と背景を読み取る力
  • 想定される不具合や脆弱性を見抜く力
  • 結果を他のメンバーに正確に伝える力

といった「レビュー能力」です。

つまり、AIが書いたコードを検査・修正・改善する役割が今後ますます重要になります。


■ チーム全体のマインドセット転換が必須

AIを活用する開発現場では、チーム全体でのマインドセット転換が不可欠です。特定の“AI好きなエンジニア”だけが使っているようでは意味がありません。

全員が「AIと共に働く」前提で業務を設計することで、チームの生産性が飛躍的に向上します。

具体的には、

  • 開発ルールに「AI活用推奨」を明記する
  • ペアプロにAIを“第3のメンバー”として導入する
  • 設計書レビューやテストケース作成をAIベースで進める

などが考えられます。

また、「工数の多さ=がんばった」ではなく、「判断の質=貢献度」とする評価軸への転換も求められます。


■ これからの開発者に求められる5つの力

最後に、これからの開発者に求められるスキルを整理しておきます。

スキルカテゴリ具体的な内容
設計力抽象度の高い要件を構造化し、仕様に落とし込む
言語化力AIが理解できる形で要件や構造を説明する力
プロンプト力適切な命令文でAIを活用するスキル
レビュー力AIが出力した成果物を検証・改善する力
学習力新しいツールや技術をすばやくキャッチアップする姿勢

■ まとめ──AIと共に成長するエンジニアへ

アプリ開発の現場は今、AIの力によって「作業の場」から「設計と判断の場」へと変わっています。これは、一部の先進企業だけの話ではありません。どの企業も、どのエンジニアも、AIと協働する開発環境にシフトしていく必要があります

「AIに仕事を奪われる」ではなく、「AIと共に仕事を進化させる」。

その意識を持てるかどうかが、これからの開発者にとって最大の分かれ道となるでしょう。

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