アプリ開発日誌
2023.03.09
ソフトウェアアーキテクチャとは?開発現場での役割と必要性について
徐々に気温が暖かくなり、春の訪れを感じますね。 卒業を迎えた学生たちが新たな場所に向かうシーズンでもあります。 みなさま、はじめまして。EDAでエンジニアをしているものです。 早いことに入社して半年ほどが過ぎ、ベテランエンジニアを目指しながら実務を通して精進を重ねる日々を過ごしています。 今回は、若手エンジニアとしてこれから活躍していく方に向け、ソフトウェア開発で土台となるソフトウェアアーキテクチャについてご紹介します! 本記事が少しでもみなさまのお役に立てれば幸いです。
ソフトウェアアーキテクチャとは?
ソフトウェアアーキテクチャとは、ソフトウェアの構造や設計を決める上で重要な考え方です。 ソフトウェアの品質や拡張性、保守性、セキュリティ性などに大きな影響を与えます。 また、アーキテクチャは、システムの構成要素やその間の関係性、データフロー、プロセスの流れなどを決めるものです。 良いアーキテクチャによって、ソフトウェアはより効率的に動作し、将来の変更やアップグレードに対応しやすくなります。
ソフトウェアアーキテクチャの重要性
ソフトウェアアーキテクチャは、ソフトウェアの設計や構築において重要な役割を担います。 アーキテクチャを設計することなく、機能を追加していくと、次第にコードが複雑化し、保守性が低下していきます。 また、コードの修正や拡張が困難になり、開発プロセス全体の効率が悪化していくでしょう。 ここで登場するのがソフトウェアアーキテクチャです。 複雑なシステムの構造を役割ごとに定義することでシステム全体の管理・変更・拡張を容易に行うことができ、保守性の高いシステムを構築することができます。 設計・開発をする上で強力な手助けとなってくれるので、学習を通じてスキルを身につけていきましょう。
ソフトウェアアーキテクチャの種類
ソフトウェア・アーキテクチャには様々な種類があり、それぞれに特徴や用途があります。ここでは、一般的な3つのタイプを紹介します。
モノリシック・アーキテクチャ
伝統的なアーキテクチャで、アプリケーション全体を1つの自己完結型ユニットとして構築します。 実装やデプロイは比較的簡単ですが、アプリケーションの成長に合わせて保守や拡張を行うのは難しい場合があります。
マイクロサービス・アーキテクチャ
アプリケーションを小さな独立したサービスの集合に分解し、APIを使用して相互に通信するアーキテクチャスタイルです。 スケーラビリティ、耐障害性、柔軟性の向上などのメリットがありますが、サービス間の通信やデプロイの管理などの複雑さが生じます。
イベント駆動型アーキテクチャ
システム内のアクションやリアクションを引き起こすイベントの概念を中心にアプリケーションを設計するアーキテクチャスタイルです。 緩やかな結合と高いスケーラビリティを実現できますが、イベントを適切に定義・管理するために慎重な計画と設計が必要です。
これらのアーキテクチャにはそれぞれ長所と短所があるため、アーキテクチャの選択は、プロジェクトの要件や制約を考慮しながら決定していきましょう。
ソフトウェアアーキテクチャの設計原則
ソフトウェアアーキテクチャの設計原則は、柔軟性、保守性、拡張性のあるシステムを作成するための一連のガイドラインとベストプラクティスを提供します。 代表的な設計原則には、以下のようなものがあります。
- SOLID:独立性、再利用性、疎結合性を備えたソフトウェアコンポーネントを作成することの重要性を強調しています。
- DRY:同じことを何度も繰り返さないよう、コードをモジュール化して再利用性を高めます。
- KISS:開発者は、シンプルで理解しやすく、保守や拡張が容易なシステムを作るよう努力する必要があります。
- YAGNI:必要とされていない機能や特徴をシステムに追加することを避けるべきことを示しています。
その他にも、「関心の分離」をはじめ有名な設計原則があります。これらの原則に従うことで、開発者は、理解、維持、拡張が容易で、時間の経過とともに変化するビジネス要件に適応できるソフトウェアシステムを開発することができます。
ソフトウェアアーキテクチャのベストプラクティス
ソフトウェアアーキテクチャのベストプラクティスは、ビジネス目標に沿った、拡張性、保守性、テスト可能なシステムを構築することを目的としています。 ここでは、そのベストプラクティスをいくつか紹介します。
レイヤードアーキテクチャ
ソフトウェアを階層化し、各層が特定のタスクを担当するアプローチです。レイヤーは、通常、プレゼンテーション、アプリケーション、ドメイン、インフラストラクチャの4つです。 プレゼンテーション層はユーザーの入出力を処理し、アプリケーション層はユースケースを調整し、ドメイン層はビジネスロジックを実装し、インフラ層はデータストレージや通信などの技術サービスを提供します。
クリーンアーキテクチャ
内部から外部への依存性を最小限に抑え、柔軟でテストしやすく、保守性が高いアプリケーションを構築することを目的としたアプローチです。 エンティティ層、ユースケース層、インターフェース層、インフラストラクチャ層の4つの層から構成され、各層は内側に向かって依存性が高くなります。これにより、変更に強い・テストしやすい・再利用性が高い、技術的変更に対応しやすいといった利点があります。
マイクロサービスアーキテクチャ
ソフトウェアを複数の小さなサービスに分割するアプローチです。 各サービスは、独自のデータベースやAPIを持ち、他のサービスと疎結合になっています。これにより、アプリケーション全体の開発、保守、および拡張が容易になります。適切に設計・実装された場合、高度な柔軟性、スケーラビリティ、および可用性をもたらします。
まとめ
ソフトウェアアーキテクチャは、ソフトウェアの設計における基盤であり、ソフトウェアの品質や保守性、拡張性に重要な役割を果たしています。 さまざまな種類のソフトウェアアーキテクチャがあり、それぞれに設計原則とベストプラクティスがあります。これらを理解し、正しく実装することで、より高品質で効率的なソフトウェアを作ることができます。 ソフトウェアアーキテクチャを適切に理解して活用することは、ソフトウェア開発において重要なスキルの一つであり、今後ますます重要性が高まることが予想されるでしょう。