アプリ業界気になるニュース
2016.12.26
Webエンジニア的に2016年を振り返ってみる
FitbitのPebble買収に驚きを隠せない木下です。
サービスは継続するとのことですが、Kickstarterで出資者を募っていたプロジェクトは中止になり、公式ウェブサイトでの既存製品の販売も終了しているようです。もう少し遊んでみたかったのですが・・・残念です。
さて、早いもので2016年もあと1週間を切っています。というわけで、アプリ開発に関わるサーバー・Webエンジニア的に、今年のニュースを振り返ってみたいと思います。
以前に取り上げたBash on Ubuntu on Windowsだけでなく、Visual Studio for Macのリリース、Linux Foundationへの参加など、多くのニュースがありました。MicrosoftがUnix/Linuxに歩み寄り始めているような気がします。
開発環境やデスクトップ環境など、WindowsにはUnix系より優れている部分も多くあるので、今後の動きに注目したいところです。
9月にはMySQL 8.0が発表されました。
システムテーブルのInnoDB化、SETコマンドの永続化、variables_infoテーブルの登場、JSON型のサポートなどなど、ちょっとうれしい改善点が多くあります。
正式リリースされ次第、積極的に使ってみたいと思います。
こちらも9月に、GoogleからAngular2が正式リリースされました。TypeScriptをレコメンドしていることもあり、多人数での大規模開発にはとても良いフレームワークではないでしょうか。
とはいえ、一方では「ハコが大きくなりすぎた」感もあります。
たとえば、弊社がアプリと一緒にご提供するブラウザベースの管理システムは、ほとんどの場合データベースの情報管理をするだけの小規模システムなので、Angular2はあまり向かないような気がしています(AngularJS1.xはよかったのですが・・・)。
というわけで、最近はKnockout.jsを使うことが多くなっています。こちらはまた別の機会に取り上げてみたいと思います。
AppleのWWDC 2016で、App Storeに申請するiOSアプリにはATS(App Transport Security)の導入が必須になるという発表がありました。
また、来年以降リリースされるGoogle Chromeでも、HTTPのページでパスワードやクレジットカードを入力するフォームがある場合は、アドレスバーに「Not Secure」の表示が出るようになるそうです。
良い流れではありますが、ATSは発表から施行まで半年くらいしかなかったため、サーバーエンジニアは対応に追われているようです。というのもATSは、サーバー側がTLS1.2以上をサポートしている必要があります。しかし、古いLinuxサーバーを使用していると、そもそもOSをアップデートしないと対応できない、けどOSをアップデートするとApacheも更新されるからhttpd.confも書き換えて、PHPもアップデートされたからソース書き換えて・・・という沼が待ち受けていそうです。(CentOS5.xにTLS1.2はキビシイようです。)
IoT元年と言われた昨年(2015年)に比べると動きは少なかったかもしれませんが、クラウド・レンタルサーバー業者によるサービスの充実や、IoT向け通信SIMの登場など、環境は地道に整ってきている感じがあります。また、IoTの教育に最適と言われるRaspberry Piは、日本での生産が始まっているようです。
IoTは範囲が広いので、何ができるかというのがすぐには出てきませんが、少しずつわたしたちの生活に浸透していくのでは、と思います。
IoTの普及に不可欠なIPv6ですが、こちらはあまり大きな動きがなかったように思います。
AndroidやiOSはすでにIPv6をサポートしていますし、VPSを契約するとv6アドレスが付与されるのがあたりまえになってきました。しかし一方で、家庭向け回線や携帯電話回線ではIPv6の導入がなかなか進んでいないようです。
延命措置がうまくいっている、ということかもしれませんが、サーバーエンジニア的には、早くv6だけでWebサーバーを構築できる日が来てほしいものです。
個人的には、他のプログラマーが書いたソースを改修したり、初見のフレームワークをいきなり使ったりする必要がこれまでより多くなった1年でした。
他の人のソースを読んだり手を加えたりすることによって、自分自身がイチから書くソースにも、ロジックの組み方や変数名などにより気を使えるようになったかと思います。また、ドキュメントを読みくだす力がついた気もします。
来年はどんなニュースがでてくるでしょうか。個人的には、Microsoftの動きや、JavaScriptフレームワークの精錬に期待しています。
2017年も、イーディーエーをどうぞよろしくお願いいたします。