AIエージェントとは?|事例から見るAIに任せられる業務と人が確認すべきポイント
AIエージェントの事例を調べても、会社全体での大がかりな導入の話ばかりで、自社に置き換えられずに困っていないでしょうか。
「AIに任せきりにして、間違った対応をされたらどうするのか?」と、導入の話を前に進められずにいる方もいるはずです。
実は、1つの業務に絞ってAIエージェントを使った事例が、公式の発表で確かめられる形で公開されています。
AIエージェントでできること、チャットボットとの違い
AIエージェントは、聞かれたことに答えるだけでなく、頼まれた仕事を終えるまでの手順を自分で進めるAIです。
チャットボットは、質問に答えたところで役目を終えます。AIエージェントは、たとえば「来週のセミナーの日程を変えたい」という連絡を受けると、予約の記録を調べ、変更の処理まで進めます。チャットボットが案内係なら、AIエージェントは手続きまで済ませる窓口の担当者だと考えてください。

従来の自動化は、決まった書式と手順なら速く正確に動きます。一方で、取引先ごとに注文書の書式が違う、問い合わせの文面が毎回違う、といった場面では止まってしまいます。AIエージェントは、こうしたばらつきを読み取って作業を続けられるのです。
| 種類 | していること | 人がしていること |
|---|---|---|
| 生成AIのチャット | 聞かれたことに文章で答える | 質問し、答えを業務に移す |
| チャットボット | 用意された答えを返す | 答えの準備と想定外の対応 |
| 従来の自動化 | 決まった手順を繰り返す | 書式や手順の違うものの処理 |
| AIエージェント | 調べる、下書く、入力するまで進める | 外に出る前の確認と判断 |
つまり、違いは「答えたところで止まるか、仕事の終わりまで進むか」にあります。この違いが業務のどこに出て、人がどこで確認しているのか、事例で見ていきましょう。
1業務から始めたAIエージェント活用事例を、業務別の一覧で比べる
違いをつかんだところで、公表されている4社の事例を業務ごとに並べます。どの事例も、1つの業務に絞った使い方です。
公表されている事例から、1つの業務に絞った例を選びました。
会社の規模は、スクールバス空間設計がグループ計で105名です(セールスフォース・ジャパン)。タイミーは2025年11月時点で1,598名(うち正社員1,205名)と大きな会社ですが(LayerX)、経理の経費精算チェックという1業務の例として採りました。
| 業務の種類 | 会社の規模と業種 | AIにさせていること | 人が確認しているところ |
|---|---|---|---|
| 問い合わせ対応 | TAPP、不動産・資産運用(規模の記載なし) | 問い合わせへの回答と日程変更の処理 | 出典に記載なし |
| 事務作業 | タイミー、1,598名、スキマバイトアプリ | 経費精算の申請前に不備を指摘 | 申請者が直し、経理は判断に集中 |
| 事務作業 | ユーアイシステムズ&アクト中食、中食の製造販売(規模の記載なし) | 書式の違う受注データの読み取り | 「要確認」の印が付いたものを担当者が見る |
| 営業の補助 | スクールバス空間設計、105名、リノベーション・不動産仲介 | 悩みの聞き取りから面談予約まで | 面談予約の段階で人が引き継ぐ |
一覧から見える、人が確認している場所
人が確認する場所が出典に書かれた3社は、AIに指摘や振り分け、予約までをさせ、直す・登録する・顧客と会うといった最後の判断を人に残しています。新人に下調べを任せ、最後の判断は担当者が持つ、職場でよく見る分担と同じ形です。
問い合わせ対応のAIエージェント事例
では、答えるだけでなく処理まで任せるとは、どういう形なのでしょうか。一覧の1行目、TAPPで見ていきます。不動産販売を基盤に資産運用の総合プラットフォームを目指す会社で、対象の業務は資産運用セミナーへの問い合わせです。
AIにさせていること
AIは問い合わせに直接答え、予約データと照らし合わせて、日程変更やキャンセルの処理まで24時間365日自動で行っています(セールスフォース・ジャパン)。「日程を変えたい」と言われて受付の電話番号を案内するのではなく、変更そのものを済ませている点が、チャットボットとの違いです。
「同じ質問に、今日も何度答えただろう……」
そう感じる場面はありませんか。予約・申込の変更のように答えと処理がセットになった問い合わせは、この事例に近い形です。

人が確認しているところと、出典にある結果
出典には「人が担うべき意思決定」と「AIに任せるべき処理」を切り分けた、とあるだけで、どの場面で人が確認しているかは書かれていません。
結果として挙げられているのは、AI問合せ解決率90.3%と、リード[1]復旧数60件/月の2つです(セールスフォース・ジャパン)。測定した時期の記載は無く、2026年に公開された提供元の顧客事例ページにある1社の数字です。
事務作業を自動化したAIエージェント事例
問い合わせのように外から来る仕事とは別に、社内で毎月繰り返す書類仕事にもAIエージェントは使われています。経理のタイミーと、受注業務のユーアイシステムズ&アクト中食(広島市、弁当・惣菜などの製造販売と食材供給)の2社です。
AIにさせていること
タイミーの経理では、経費精算の申請前に、AIが社内規程に照らして不備をその場で指摘します。訪問先のあいまいな書き方や領収書の添付漏れも見つけて、具体的に伝えます(LayerX)。
ユーアイシステムズ&アクト中食は、取引先ごとに書式が違う受注データをAIエージェントに読ませ、品番・品名・数量・納品日を基幹システム[2]の項目に割り当てています。商品コードの表記の揺れも吸収するので(Knowfa)、書式が決まっていないと止まってしまう従来の自動化とは違い、そのまま作業を続けられるのです。
人が確認しているところと、出典にある結果
タイミーでは、申請者がAIの指摘を見て自分で直します。経理担当者は「この申請は本当に実務上必要なのか」といった判断に集中する形を目指している、と書かれています。2025年12月12日に公開された提供元の発表では、結果は次の3つでした(LayerX)。
- 月4,000行の交通費明細の目視確認が不要に
- 経費精算の締めが1営業日前倒し
- 証憑の添付漏れがほぼゼロに
ユーアイシステムズ&アクト中食では、数量ゼロ、未登録の商品コード、日付の食い違いを見つけると、自動で登録できるデータと確認が要るデータに分けます。確認が要るものには「要確認」の印を付け、強調表示で担当者に知らせます。

結果は数値ではなく、「毎日の手入力作業にかかっていた時間が大幅に削減」という言葉で示されました(Knowfa)。2026年に公開された提供元の事例で、検証は「概ね完了」し、現場が中心になって広げている段階です。
営業の補助にAIエージェントを活用した事例
事務作業の2社では、AIの作業は社内で人に渡りました。では、顧客と直接やり取りする営業の補助ではどうでしょうか。
スクールバス空間設計(大阪府。リノベーション、不動産仲介、店舗デザイン、カフェ運営)は、AI営業エージェント「Frank」を自社サイト、ステップメール[3]、公式LINEに置き、24時間365日対応させています(セールスフォース・ジャパン)。
AIにさせていること
Frankは、悩みの聞き取り、条件の整理、専門知識を使った提案、面談予約までを対話で進め、名前・希望日時・エリア・連絡先など5項目を聞き取ります。
人が確認しているところと、出典にある結果
面談予約の段階で、人の担当者に引き継ぎます。社長は「AIに任せるのは『作業』、人が担うのは『感動』」とコメントしています。2026年4月27日の発表に書かれた結果は、次のとおりでした(セールスフォース・ジャパン)。
- 資料請求が90件→190件(約2.1倍)
- AI経由の商談化率75%(通常のリードは37.6%)
- 導入3ヶ月で、累計17件のリードから3件・2,650万円の成約
TAPPと同じく顧客とのやり取りをAIが担っていますが、顧客と会う手前で人に渡すと出典に明記している点が違います。引き継ぐ場所は事務作業の2社と違っても、最後の判断を人が持つ点は同じです。

よくある質問(FAQ)
4社の事例を見たうえで、導入を考える前に気になりやすい点にお答えします。
Q. ITに詳しい社員がいない会社でも、AIエージェントを始められますか?
始められる場合はありますが、業務とつなぐ準備を誰が担うかで変わります。この記事の事例は、どれもAIエージェントを提供する会社の製品を使ったものでした。社内に詳しい人がいなければ、提供元や開発会社に、つなぐ作業を任せる方法があります。
Q. 今使っているExcelや業務のシステムはそのままで、AIエージェントを使えますか?
使っている仕組みによります。外とデータをやり取りできる仕組みなら、そのまま使える場合があります。難しい場合はデータの受け渡し方を変えることもあるため、まずは今のシステムの名前と使い方を整理して相談してください。
AIエージェントを1業務から試すなら、自社のどの業務から考えるか
ここまで読んで、「うちのあの業務なら任せられるかもしれない」と浮かんだ方もいるのではないでしょうか。最初の1業務は、次の3つの問いに当てはめると絞り込めます。
- 毎日・毎月、同じ手順で繰り返している業務はどれか。セミナーの日程変更、経費精算のチェック、受注データの入力のように、量が多く手順が決まっている業務が候補です。
- AIの下書きや読み取りの結果を、外に出る前に誰が確認できるか。「要確認」の印を見る担当者、面談を引き継ぐ担当者のように、確認する人を先に決めておきます。
- うまくいったかを何で確かめるか。事例の出典にあったのは、問い合わせの解決率、目視確認が要らなくなった明細の量、資料請求の件数でした。いま自社で数えられるものを1つ選んでください。
紹介した4社の事例は、どれも1つの業務について、AIにさせる範囲を決めた使い方でした。最初は、確認する人を決められる業務を1つ選ぶことから始めてください。
EDAでは、AIエージェントを1つの業務から試すご相談を受けています。どの業務から始めるか決まっていない段階でも、今の業務の流れを一緒に整理するところからご相談ください。