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AI活用

AI HACK 2026 TOKYOで優勝、EDAの3人が作ったWebアプリ「Okaeri」

AI HACK 2026 TOKYOで優勝、EDAの3人が作ったWebアプリ「Okaeri」

2026年8月16日、AI HACK 2026 / TOKYOで、EDAのメンバー3人で組んだチームJが最優秀賞を受賞しました。

9日間で作ったのは、賃貸の退去時に受け取る精算書を撮影すると、その請求が適正かどうかを診断するWebアプリOkaeriというプロダクトです。メンバーは瓜生遥輝、佐藤海斗、松本慎之介の3名で、3人ともハッカソンへの出場はこれが初めてでした。

AI HACK 2026 / TOKYOで、EDAのチームJが最優秀賞を受賞しました

最優秀賞は、この大会で最も高く評価されたチームに贈られる賞です。

大会の概要は次のとおりです(AI HACK 2026 / TOKYO 公式サイト)。主催はAIHACK運営事務局です。

  • 会期: 2026年8月8日(土)から8月16日(日)までの9日間。Day1と中間期間はオンラインで進み、最終発表は8月16日に東京都内で実施
  • 規模: 定員100名。先着順の募集は締め切り
  • 賞金: 総額100万円
  • テーマ: 「LLM活用」「AI×業務自動化」「AI×新規プロダクト」のいずれかを選ぶ形式

審査は、技術力、ビジネス価値、プレゼンテーション、チームワーク、独自性・新規性の5項目で行われました。審査員には、ちょまどさん(マイクロソフト Cloud Developer Advocate)、かずなりさん(株式会社サードスコープ 取締役COO)、manaさん(株式会社MakeAI CEO)、みやびさん(株式会社トランスAIJ 代表)ほかが並びます。

大会が掲げていたテーマは「本番で通用する次世代のAI Productを作る」でした。9日間のうち大半はオンラインで進み、最終日に会場でのピッチと審査が行われます。全チームの発表のあとに上位チームの最終ピッチがあり、そのまま表彰式という流れです。発表当日は、参加していない人も観覧を申し込める形で公開されていました。

作る期間が9日間しかないうえ、平日はそれぞれ通常の業務があります。手を動かせる時間が限られるなかで、どこまでを作り込んでどこを捨てるかの判断が、そのまま成果物の差になる条件でした。

最終発表の会場で、チームJのメンバー紹介がスクリーンに映されている様子

退去費用の「なんとなくおかしい」を、説明できる形にする

3人が最初にやったのは、身近な困りごとを出し合うことでした。そこで全員に心当たりがあったのが、引越しのときの退去費用です。

直近で引越しをしたメンバーが受け取った請求は152,000円。金額を見て「これはおかしいのではないか」と感じたものの、どの項目がいくらおかしいのかを説明できないまま支払っていました。

同じことが自分たちだけに起きているのかを確かめるため、直近2年に引越した7人に聞いています。5人が、請求に疑問を持ちながら支払っていました。国民生活センターに寄せられた原状回復に関する相談は2025年度で14,711件にのぼり、3年連続で増えています(数字はいずれもチームメンバーによる技術解説(Qiita)より)。

この状況を、3人は3つに分けて捉えました。

  • 経験の差: 管理会社は年に数千件の精算を扱う一方、借りる側が経験するのは人生で数回
  • 確かめる手間: 判断のよりどころである国土交通省のガイドラインは173ページあり、耐用年数をふまえた計算も必要
  • 情報が残らない: 一人ひとりが黙って払うため、知見がどこにも蓄積されない

ガイドラインには、原状回復の工事は補修が可能な最低限の範囲を単位とすることが基本だと書かれています。壁のクロスに傷が1か所あったからといって、部屋全体の張り替え費用をそのまま負担するとは限りません。

もうひとつ、判断を分けるのが耐用年数の考え方。設備や内装には、年数の経過とともに価値が減っていくという前提が置かれています。クロスであれば6年で、価値はほぼ尽きたものとして扱われる。同じ傷でも、入居1年目と6年目では借りた側の負担が変わります。

ただ、こうした考え方を知らないまま精算書を受け取れば、書かれた金額がそのまま請求として通ってしまう。管理会社が不当なことをしているとは限りません。基準を知っている側と知らない側が向かい合っているだけで、その差が金額に出ます。

作ったのは、退去の精算書を撮るだけで診断するWebアプリOkaeri

チームJが名乗っていたのは「チームおかえり」で、ピッチの表紙に置いた言葉は「帰ってくるはずのお金に、おかえりを」でした。払いすぎた分を取り戻すのではなく、もともと戻ってくるはずだったお金が戻る、という立て付けです。

最終発表のステージで、Okaeriを紹介しているところ

Okaeriは、精算書を撮影するだけで、国土交通省のガイドラインに照らして請求が適正かどうかを診断します。使う流れは6つの画面に分かれています。

  1. 精算書を選ぶ: スマートフォンで撮影するか、PDFなどをアップロードする
  2. マスキング: 端末の中で氏名や住所を自動で黒塗りする。足りない部分は指でなぞって足せる。精算書には個人情報が載るため、この処理は手元の端末で完結する
  3. 入居条件を答える: 居住年数や傷の有無などを、1問ずつ5問答える
  4. 読み取りを確かめる: 読み取られた明細と合計を、手元の紙と見比べて直す
  5. 診断書を見る: 項目ごとに、過剰の疑い・要確認・適正範囲を色で示し、根拠となる条文と差額を並べる
  6. 交渉文を作る: 求めることと口調を選ぶと、管理会社へ送る文面の下書きができる。ガイドラインの該当箇所を別紙として添えられる

最後の交渉文まで用意されている点が、この6つの流れの要です。おかしいと分かっても、何と書いて出せばよいかで止まってしまうためです。診断書には根拠となる条文と差額が並ぶので、そのまま相手に示せる。

文面には、求めることと口調を選べるようになっています。強く出るか、確認をお願いする書き方にとどめるかは、相手との関係や残りのやりとりによって変わるためです。あわせて、ガイドラインの該当箇所を別紙として添えられる。自分の言葉だけで主張するのと、公的な文書を添えて示すのとでは、受け取る側の対応も変わってきます。

色分けにも意味があります。過剰の疑いがある項目だけを赤で示し、判断が分かれる項目は黄色にとどめる。すべてを過剰だと主張すると交渉が通らなくなるため、争う項目を絞れる形にしてあります。

最終発表のデモでは、請求額128,000円の精算書に対して適正額を68,600円と診断しました。内訳のひとつであるクロスの張り替えは、60,000円の請求に対して、借りた側の負担は600円という診断です。クロスには耐用年数が定められており、住んだ年数に応じて負担が下がるためです。

Okaeriの診断書の画面。請求128,000円に対してガイドライン照合後は68,600円と表示され、クロス張替の項目に過剰の疑いが付いている

出典: AIの答えを、人はどうすれば信じられるのか。判定をLLMに任せない「Okaeri」の設計(Qiita)

診断書には、判断の根拠が並びます。クロスの耐用年数は6年で、6年住めば残存価値はほぼ尽きる。だから借りた側の負担はごくわずかになる。この理屈と、ガイドラインの該当ページへのリンクが、金額のとなりに置かれます。

大会が掲げていたテーマは「本番で通用する次世代のAI Product」でした。精算書には氏名も住所も載る。実際に人が使うものにするなら、そこを持ち出さずに扱えることが前提になります。黒塗りを手元の端末で済ませてから先に進む作りは、その前提に対する答えでもあります。

3人が挙げていた課題のうち、3つ目にはすでに手が入っている。一人ひとりが黙って払っているために、どんな請求が実際にあったのかが誰のもとにも集まらない、という構造です。Okaeriには「みんなの診断」という画面があり、診断するたびにその管理会社の記録が匿名で1件ずつ増えていきます。

Okaeriの「みんなの診断」の画面。管理会社ごとに診断の記録がまとまっている

出典: AIの答えを、人はどうすれば信じられるのか。判定をLLMに任せない「Okaeri」の設計(Qiita)

一人では人生に数回しか経験できないことも、記録が集まれば傾向として見えてきます。経験の差を個人の努力ではなく記録で埋める、というところまでを見据えて、9日間の成果物は作られていました。

Okaeriの続きは、Qiitaの技術解説記事で読めます

判定をLLMに任せず、読み取りと判定を分けたこと。ガイドラインの原文をどう引き当てているか。画像に紛れ込んだ命令文をどう扱うか。9日間で下した判断は、瓜生が書いたQiita技術解説記事に記載しています。

作り方の詳細まで知りたい方は、AIの答えを、人はどうすれば信じられるのか。判定をLLMに任せない「Okaeri」の設計へどうぞ


株式会社イーディーエーは、AIエージェントの導入支援を中心に、AI駆動でのアプリ・システム開発から内製化支援、運用までを手がけています。今回のような取り組みに関心を持たれた方は、会社概要採用情報もご覧ください。

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