アプリ開発の見積もりを複数社から取ると、同じ要件を伝えたはずなのに、金額が大きく異なるという状況に直面することがあります。
「高すぎる会社があるのではないか」
「安い会社は品質に問題があるのではないか」
こうした疑問を持つのは自然ですが、実際にはどちらかが間違っているとは限りません。
アプリ開発の見積もり金額は、前提条件・考え方・リスクの取り方によって変わるためです。
結論:見積もり金額が会社ごとに違う主な理由
アプリ開発費が会社によって異なる理由は、主に次の3点です。
- 要件の受け取り方・前提条件が異なる
- 開発工数と単価の考え方が異なる
- 開発体制・リスクの取り方が異なる
以下、それぞれを具体的に説明します。
要件の受け取り方・前提条件が異なる
見積もりの差が生まれる最初のポイントは、要件の受け取り方の違いです。
たとえば、
- RFPや要件資料がなく、口頭説明が中心
- 担当者によって説明内容が微妙に異なる
- 「このくらいのイメージ」という曖昧な表現が多い
こうした状態で見積もりを依頼すると、各開発会社がそれぞれの解釈で仕様を補完することになります。
また、同じ内容であっても、
- 詳細な設計書を前提とする会社
- 簡易設計で進める前提の会社
- 動作確認を多数端末で行う前提か、最小限でよいか
といった前提条件の置き方によって、必要な工数や工程が変わります。
結果として、「同じことを言っているようで、実は見ている仕様が違う」という状態が生まれ、見積もり金額に差が出ます。
開発工数と単価の考え方が異なる
アプリ開発の見積もりは、基本的に次の流れで算出されます。
- 機能やタスクを洗い出す
- 各工程(設計・開発・テスト)にかかる工数を見積もる
- 工数 × 単価で金額を算出する
- すべての機能・タスクを合算する
このうち、工数と単価の両方が会社によって異なります。
工数の違い
- 丁寧な設計・テストを前提とする
- 将来の改修を見越して余裕を持たせる
- 最短で動くことを優先する
どこまでを「必要な作業」と考えるかで、工数は大きく変わります。
単価の違い
開発会社の立ち位置によって、エンジニアの単価も異なります。
- 大手企業の一次請けが中心の会社
- 中堅企業向けを主戦場とする会社
- 二次請け・三次請けが多い会社
支払っている人件費や体制が違えば、同じ工数でも金額は変わるのが自然です。
なお、どうしても案件を受注したい場合、赤字覚悟でディスカウントするケースもあります。
安い見積もりが必ずしも標準的とは限らない点には注意が必要です。
開発体制・リスクの取り方が異なる
見積もり金額には、体制設計とリスク管理の考え方も反映されます。
たとえば、
- 要件定義から開発までを1人で担当する
- 複数人で役割分担し、レビューやQAを入れる
前者は進行管理コストを抑えられますが、開発期間が長くなりやすく、属人化のリスクがあります。
一方で、
- 人を増やせば単純に期間が短くなるわけではない
- 適切な人数配置が必要
という前提もあります。
ただし、端末検証やテスト工程などは、人員や端末を確保できれば期間を短縮できるケースもあります。
このように、
- スピードを重視するか
- 安定性を重視するか
- 将来の拡張をどこまで考慮するか
といったリスクの取り方の違いが、見積もり金額に反映されます。
まとめ:見積もりの差は「考え方の差」
アプリ開発の見積もり金額が会社によって異なるのは、
- 要件の解釈
- 工数と単価の設定
- 体制とリスク設計
といった考え方の違いによるものです。
単純に「高い・安い」で判断するのではなく、どの前提で、どこまでを含めた見積もりなのかを理解することが重要です。
では、実際に複数の見積もりを比較する際、どこを確認すればよいのでしょうか。
次の記事では、アプリ開発の見積書を見る際のチェックポイントを
具体的に解説します。