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「小さく当てて、大きく広げる」――スライス型リプレイスの提案術

「小さく当てて、大きく広げる」――スライス型リプレイスの提案術

要約

全面リプレイスは理想的に見えて、実際には決裁が重く、リスクも高い。承認までに何ヶ月もかかり、開発が止まってしまうことも少なくありません。そんな“ビッグバン型リプレイス”の壁を乗り越える方法として注目されているのが、スライス型リプレイスです。
最初から全てを変えず、まずは「成果に直結する3画面」だけを刷新し、数字で効果を証明してから全体へ広げる――それがこの戦略の肝。旧システムと新システムを並走させ、安全に効果を検証できるため、上層部の合意も得やすくなります。本稿では、その進め方、投資効果の算出例、社内を動かすための説得フレーズまで、実践的な手順を紹介。
リスクを抑えつつ成果を出したい企業にこそ、「小さく当てて、大きく広げる」リプレイス戦略が有効です。

システムの全面リプレイスは、決裁が重くなりがちです。
初期投資もリスクも大きく、上層部の承認を取るまでに何ヶ月もかかるケースも少なくありません。

そこで提案したいのが、“スライス型リプレイス”という進め方です。
最初から全部を変えようとせず、まずは「一番稼ぐ」「一番詰まっている」3 つの画面だけを先行して刷新し、数字で効果を証明してから全体展開する。
リスクを分割しながら、確実に成果を積み上げる戦略です。


スライス型とは何か?

スライス型リプレイスは、アプリや Web サービスの機能・画面を小さな単位に切り出して段階的に入れ替える方法です。
一括刷新(いわゆるビッグバン型)と違い、旧 UI と新 UI を並走させながら進めるため、システム停止のリスクや初期コストを抑えられます。

まずは売上やコンバージョン率(CVR)に直結する導線――たとえば「検索 → 詳細 → 決済」など――を優先的に改善。
“早く当てて、早く効果を数字で見せる”ことが、スライス型の最大のポイントです。


スライス導入の進め方(3 画面先行ロードマップ)

Step 0:選定(1 週間以内)
利益貢献度や離脱率の高い 3 画面を特定し、現状 KPI(CVR、離脱率、障害率)を確定します。

Step 1:設計&PoC(2〜4 週間)
コンポーネントやデザインルールを最小限に定義し、
新 UI は「機能は同等+改善点を 1 つ」に絞ります。
(例:候補絞り込みを高速化、エラー時の復帰導線を改善など)

Step 2:並走リリース(2〜3 週間)
旧 UI と新 UI をトグルで切り替え、特定ユーザーのみ先行利用。
問題があればワンクリックで旧 UI に戻せるロールバック手順を用意します。

Step 3:検証(約 2 週間)
AB テストで、CVR 改善・障害率低下・操作時間短縮などを計測。
統計的に効果が確認できるまで継続します。

Step 4:全体展開(2〜6 週間)
得られた「勝ちパターン」をデザインシステムや共通コンポーネントに反映し、横展開していきます。


数字で説得するクイック試算

  • 現状:月 10 万訪問 × CVR1.8% × 粗利 2,000 円 = 約 360 万円/月
  • 改善後(CVR + 0.4pt → 2.2%):約 440 万円/月(+ 80 万円/月)
  • 先行 3 画面の改修費が 240 万円でも、わずか 3 ヶ月で回収可能。

つまり「まず 3 画面で ROI を実証し、勝ち UI を全体に展開する」というストーリーで、上層部の合意を得やすくなります。


よくある反論と切り返し方

  • 「予算が厳しい」
    → 先行費用と回収期間を提示し、「全体投資は効果確認後に」と説明。
  • 「障害が怖い」
    → 並走構成+ロールバック図を用意し、即時切り戻し可能な運用を明示。
  • 「社内合意が取りづらい」
    → KPI(CVR・障害率・CS 工数)の改善指標をスライド 1 枚で共有。
    合意形成をシンプルにする。

見える化が信頼を生む:KPI とダッシュボード

  • 先行 KPI:到達率・CVR・平均操作時間・障害率(件数/千セッション)
  • 運用 KPI:ロールバック発生回数、問い合わせ件数、リリースリードタイム
  • 可視化:旧 UI と新 UI を並べたグラフで、“1 秒で勝敗がわかる”ように。

安全に並走する構成イメージ

ロードバランサー(LB)で旧 UI・新 UI をユーザー属性や割合で振り分け。
バックエンドのヘルスチェックで異常を検知したらアラートを発報し、
問題があればフラグひとつで旧 UI に戻す。
データベースは後方互換性を維持しておくことで、いつでも安全に切り替え可能です。


提案資料に含めたい 3 点セット

  1. 三段階見積サンプル
      A:先行 3 画面(PoC +並走)
      B:勝ち UI の横展開(5〜10 画面)
      C:全体リプレイス(デザインシステム・教育含む)
  2. 並走/ロールバック図解:安全性を一目で伝える 1 枚資料。
  3. KPI シート:基準値・目標・計測方法を明示したテンプレート。

最後に:社内を動かす一言を持とう

「全部を変えるのではなく、一番成果が出やすい3画面だけを先に試そう。」
「数字で成果を確認してから、全体に展開すればいい。」
「リスクを分けて、成功体験を積み上げる。」

上層部や関係部門を動かすには、「小さく始めて、大きく広げる」という筋の通った提案が最も説得力を持ちます。
“スライス型リプレイス”は、決裁のハードルを下げながら、確実に成果を示せる現実的な選択肢です。
次の刷新は、まず3画面から始めてみましょう。

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